民間企業のマネをしない!
人事評価の目的の一つとして、「公正処遇を行うための判断材料とする」ということが考えられる。すなわち、人事評価をしっかり行って、評価のよい人は昇給や賞与を多くし、逆に、評価の悪い人は少なくして、やる気を喚起しようという考えである。
確かに、このような考えで人事評価を行っている民間企業は多くある。
民間企業の場合は、社員が頑張ってよい評価を得るということは、会社の業績向上につながり、それが賃金原資の増加に結びつく。そして、その増加した分を再配分するというように考えることが出来るので、人事評価と処遇を結びつけることが可能であり、また、やる気の喚起という点でも効果がある。 しかし、国立大学法人の場合はどうであろうか。職員が頑張ってよい評価を得たからといって、賃金原資が直接的に多くなるとは限らない。もちろん、業務の効率化やコストダウンなどの職員の努力により業績はよくなるであろうが、賃金総原資に直接的に大きく連動するわけではない。
賃金総原資が大きく増加するわけではないのに、評価のよい職員に昇給や賞与を多くするということは、逆に評価の悪い人の昇給や賞与を低くするということになる。
すなわち、決まった賃金総原資を職員で取り合う形になってしまい、協力意識や組織としての力の発揮という点では逆効果になってしまう。
人事評価制度を導入したことで職場の雰囲気が悪くなり、足の引っ張り合いをするということになってしまうと大問題である。 国立大学法人では長期的な観点で! 国立大学法人では人事評価の結果と昇給や賞与などの処遇と短期的・直接的に結びつけない方がよい。1回や2回の評価で昇給が多くなったり少なくなったり、賞与が多かったり少なかったりということをしない方がよいということである。
それでは、処遇との連動をどうするかということであるが、それは、人事評価と処遇との連動を長期的に考えるということである。
すなわち、次のようなプロセスで評価と処遇を連動させる、ということである。 @ 公正な人事評価を行う。 A 人事評価の結果を参考に、上司は指導や能力の活用を図る。 B 人事評価の結果を本人に教え、自ら能力開発に努めるようにする。 C その結果、さらに能力を伸ばし継続して評価のよい職員(評価の累積により判断する)は、その度合いに応じて昇格が早くなったり、昇進が早くなったりする。また、重要職務を任されたりする。 D 昇格や昇進が早ければ、当然、賃金も多くなる。 E 自分の能力を伸ばし、継続して評価のよい職員は、昇格や昇進が早くなり生涯収入も多くなる。 すなわち、長期的に職員の能力や努力に見合った処遇になる。
(努力すれば金銭的にも報われる。)
したがって、長期的に、人事評価の結果が処遇に連動するとことになる。
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