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      退職金制度の見直し 2  
     6.退職所得の範囲  
     今、退職金制度の見直しをいている企業が非常に多い。その中で、適格年金の解約もむくめて過去の退職金を一旦清算し、新たな制度を構築しようとしている企業も多い。しかし、その場合ネックになるのは税金も問題であり、勤続している社員に適格年金の解約等により、今までの退職金を支給すると一時所得となり、その税負担を誰がするかなどの問題があり、なかなか実現しないのが現実である。

 そこで、税法上の退職所得について考えてみたい。
所得税法基本通達30条の1で「退職所得等の範囲」について、次のように規定している。

「退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう。したがって、退職に際し又は退職後に使用者等から支払われる給与で、その支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している者に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職手当等に該当しないことに留意する。」

 ということは、退職に伴って支給されるものを言うわけでり、勤続している社員に対しては退職所得にはならないということである。

 ところが、同じ通達の30条の2に「引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの」を次のように規定している。

「引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち、次に掲げるものでその給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは、30−1にかかわらず、退職手当等とする。(昭51直所3−1、直法6−1、直資3−1改正)

(1)  新たに退職給与規程を制定し、又は中小企業退職金共済制度若しくは適格退職年金制度への移行等相当の理由により従来の退職給与規程を改正した場合において、使用人に対し当該制定又は改正前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与

(注)  使用者が上記の給与を未払金等として計上した場合には、当該給与は現に支払われる時の退職手当等とする。この場合において、当該給与が2回以上にわたって分割して支払われるときは、令第77条《退職所得の収入の時期》の規定の適用があることに留意する。

(2)  使用人から役員になった者に対しその使用人であった勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与(退職給与規程の制定又は改正をして、使用人から役員になった者に対しその使用人であった期間に係る退職手当等を支払うこととした場合において、その制定又は改正の時に既に役員になっている者の全員に対し当該退職手当等として支払われる給与で、その者が役員になった時までの期間の退職手当等として相当なものを含む。)

(3)  役員の分掌変更等により、例えば、常勤役員が非常勤役員(常時勤務していない者であっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められるものを除く。)になったこと、分掌変更等の後における報酬が激減(おおむね50%以上減少)したことなどで、その職務の内容又はその地位が激変した者に対し、当該分掌変更等の前における役員であった勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与

(4)  いわゆる定年に達した後引き続き勤務する使用人に対し、その定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与

(5)  労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合において、その延長前の定年(以下この(5)において「旧定年」という。)に達した使用人に対し旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与で、その支払をすることにつき相当の理由があると認められるもの

(6)  法人が解散した場合において引き続き役員又は使用人として清算事務に従事する者に対し、その解散前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与」

 ちょっと長い条文であるが、制度改定後の退職金の算定に使う勤続が、制度改定後から新たに計算するのであれば、制度改定前の勤続に対して支払われる退職金については、退職所得に該当するということとなる。上記(1)の場合。

 ありがたい通達である。そうであれば、税金のことを考えずに新たな退職金制度を構築できることになる。(具体的な事例については、税の専門家に確認してください)

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