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      目標設定の仕方1  
     1.目標設定の流れ  
   

1.会社、部門目標の決定手順(3月決算の場合)

@  2月末までに、新年度の会社目標の素案を決定する。← 役員、経営企画室
A  この素案をもとに、部門目標の設定を行う。← 役員と部門長面接
B  3月末までに、会社目標、部門目標の調整を行い決定する。← 役員
C  3月末、または4月初めに、会社目標と該当部門の目標を、部門長が発表する。
D  ここでの目標が基準となり、部下の目標を設定することとなる。あまりにも高すぎる目標になる   と、部下にそのしわ寄せがおよび、意欲をそぐこととなる。目標項目はもちろんその水準につ   いては、慎重に決定する必要がある。必達目標を設定する。(場合によっては、チャレンジ目   標と2段構えとする)
E  この段階では、下記の成果分野に分けて目標項目を設定する。

成果分野の項目 内容・例

市場での地位  売上高、マーケットシェア、製品サービスの品質、ブランド力など
収益性 粗利益、利益率、経費、コスト削減、回転率、ロス率など
生産性  業務効率、業務プロセス改善、一人当たりの生産性、時間外労働など
イノベーション 新商品売上、新規顧客開拓、新システム導入など
顧客サービス  顧客満足度、リピート購買率、顧客維持率、顧客シェアなど
人材育成 新スキル獲得、業務時間、成約率など

2.個人目標の決定手順

@ 部門ミーティングの実施
  全社・部門目標ならびに方針の共有化を図るためのミーティングを開催する。
 
A 目標カードの記入
  社員一人ひとりに「目標カード」を記入させる 「目標カード」における職務基準の目標項目・期待  基準ウェイト・タイムスケジュール・等級レベル・上司への要望事項欄、態度目標欄および能力  発欄の記入

B 「目標カード」の回収・チェックと目標面接の準備・・・面接前に確認する。

C 目標面接
  目標を確認するための話し合い → 職務基準の設定 

D 目標項目の選定

  営業部門

製造部門

技術部門

事務部門

課業

受注売上
新規開拓
既存客の深耕
未収入金の回収

生産計画実行生産性の向上不良率の削減コストの低減安全管理

新技術開発新
システムの導入開発工数の低減
設計工数の低減
事務効率向上

事務効率向上業務の正確さ
期限厳守
コスト削減
新システムの導入

課題 会社方針、部門方針からブレイクダウンされた課題

● もっと詳しく知りたい。実際の導入を検討したい方は → こちらへ

 

 
     2.目標設定の留意点  
   

・ 基本的前提  
 
1 その目標は本人をモチベートするか?
 2 その目標は組織に貢献するか?

・ 目標の条件
1 目標は上司の目標と結びついているか?  
 目標は全体目標や全体方針を助けるものであり、必ず上司の目標と結びついていることが必要です。部下本人の立場からいかに立派な目標をたてたつもりでいても、それが上司の目標(全体目標)と結びついていなかったり、方針に反するものであっては、企業の全体目標と結びついてきませんし、時には全体の目標体系を乱すことにもなりかねません。
 ですから、目標を設定するさいには、上司が自己の目標と方針をしっかりとさせておくことが大切です。

《目標設定の順序》  

 上図の意味の説明

1.上位者が目的を果たすために、目標@A・・・を設定する。

2.その複数の目標の中で目標@を下位者に説明し、その目標を目的として、その目的を果たすために目標@A・・・を設定する。

3.さらに下位者に同じように目標@を説明し、それを目的に、目標を設定する。

4.このように目標設定することで、一番下の目標は、一番最初に掲げた会社の目的、上位者の目的、直属上司の目標(これを目的にする)に連動した形になる。これを「目的の共有化」という。

目的(Purpose)=その組織が企業の中で存在し活動する理由、わけ。
        目標の上位概念。

目標(Goals) =その組織が目的を果たすために成し遂げなければならない事
        柄を明確にし、具体的に指標化し、一定の期限を定めたもの。
        上位の目標が下位の目的となる。

2 チャレンジングな目標であるか?(現状維持+αであるか)  
 目標は努力しなくても達成できるようなものでは、目標としての意味がありません。
 目標は、本人の能力よりやや高いものとし、本人が努力することによって達成できる。チャレンジングなものにすることが必要です。本人が「ちょっとキツイな」と思う程度が良い目標なのです。そうした目標であって初めて、本人がその達成に努力し、その過程での経験を通じて自己啓発し、能力を伸長するとともに、目標の達成という満足感と充実感を感じとることができます。
 また、一方、組織においても現状の延長線上にあるような目標では、大きな前進は望めません。組織が管理者に期待するのは、部下にチャレンジングな目標を持たせ、その実現のために部下を指導し、その過程で能力を開発することです。
 目標水準が低いと思われる部下には、全体目標と全体方針をよく説明し、チャレンジングな目標への修正を求めてください。

 3 達成可能な目標であるか?  
 目標は高ければ高いほど良いにこしたことはありませんが、それは、あくまでも「努力すれば達成できる」ものでなければ意味がありません。「目標管理」における目標は、掲げた以上は、絶対に達成するということで、各人が努力することに特徴があります。大切なことはただ「高い」ということではなく「努力して頑張れば達成できる」ということなのです。

4 目標は重点的なものを5つ程度とすること  
 目標を設定する場合に、目標の数が多すぎると、かえって成果があがらなくなります。
 目標を総花的にたてると、結局のところ、どれも中途半端だということになり、大きな成果が上がりません。どんな仕事でも必ず重点になるものがありはずです。この重点項目を選び出し、目標にすることが大切です。
 そして、5つ程度に絞った目標も重要度の順序にしたがって重みづけをおこない、重点指向をよりはっきりさせることも大切です。

5 長期目標と短期目標のバランスをとること(目先の目標に偏重しない)  
 目標には短期目標もあれば、長期目標もあります。短期目標は成果が早く得られ、メリットもはっきりするので目標としてたてやすいものです。しかし、組織の目的を達成するためには、長期目標を設定する必要があることも忘れてはなりません。
 目標を設定するさいには、目標の及ぼす影響を考え、長期と短期の目標のバランスをとることが重要です。

 6 共同目標の連携による効率的な目標達成への配慮  
 共同目標で連携をはかることも大切です。この場合にはその旨を明示すること。一つの目標が、一人の人間、一つの部門の努力で達成できるものばかりとは限りません。むしろ重要で大きな目標であるほど他の人や他の部門と共同しなければ達成できないはずです。従って、目標はこの場合、いく人か、またはいくつかの部門にわたる共同目標となります。
 共同目標を設定することは、主として管理者の職責ですから、管理者は部下からの要望があるなしにかかわらず、協力なリーダーシップを発揮しなければなりません。もちろん関係者が事前に協議して原案を決め、上司が最終的にこれを認めるという形もありえます。

 今後の組織活動では、セクショナリズムを排除し、個人間や部門間のカベを打ち破って、チームワークを組んで事を運ばなければ、効果が上がらない分野がますます増えています。
 共同目標は、こうした組織活動を推進するために、積極的に取り組む必要があります。共同目標は、『自己管理表』に「どの部門の誰との共同目標か」を記入します。

 7 資格等級と専門職ランクによる目標レベルへの配慮  
 部下の目標数値、課題の内容、水準は、同じ資格等級の社員でも専門職ランクが異なれば±αに異なるように設定します。
 また、同じ専門職ランクの社員でも資格等級が異なれば目標数値、課題の内容、水準は±αに異なるように設定します。 

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     3.個人目標の設定  
   

1 部門目標の設定
 会社の経営方針、部門内からの要望、部門外からの要望等を勘案し、設定する。

2 職務編成(担当職務の見直し)
  1. 現状の業務分担の確認
  2. 部門目標達成のための新たな業務の確認
  3. 業務分担表の作成
  4. 面接(予備面接)により部下とのすりあわせ

3 部下個々人に対する期待と要望の提示
  1. 職務編成をふまえた上で、部下の目標設定のガイドラインを示す。(予備面接)
    「どの仕事をどの程度やってほしい」
  2. 部下にガイドラインを参考に個人別目標の作成をさせる。

4 部下の自己目標の確認(本面接)
  1. 達成水準の確認(後から計測できるように、なるべく数値化する)
  2. 目標の難易度の設定
    資格等級を参考に、同じ等級の他の人との比較も必要、
    その等級の標準者が通常の努力で達成可能な目標レベルを標準とする
  3. ウエイト付け
    目標達成のために要する時間とエネルギーを考慮して設定する。
  4. 目標達成のための対策案の話し合い
    部下の考え、上司のアドバイス
  5. 目標管理カードへの記入

5 実行計画の作成
  ・ 目標の中で長期間わたるものや難易度の高いもの、ウエイトの高いものについては、
   目標管理カード以外に実行計画を作成させる。

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     4.目標の水準設定  
   

目標値の水準は、「組織目標達成に貢献する」ということと「本人が努力をすれば達成可能な水準であること。」が前提になる。達成不可能な目標や簡単にクリアできるものは、適切な目標水準とはいえない。そうなると当然、能力の高い人には高い目標、能力の低い人には低い目標が設定されることになる。

目標水準の設定としてはこれでよいのであるが、評価のことを考えると不公平感が出てくるので、これは目標の難易度設定を行うことで解消する。

同じ等級だからといって同じ水準の目標を設定すると、評価はしやすいが、成果は少ない。 個人の能力に応じて目標水準を設定すれば、頑張り甲斐があり、成果が大きくなる。

 

 
     5.目標の難易度設定  
    1 目標の設定
 本人の現有能力と組織の要望によって、それぞれの目標を設定する。
 ここでいう目標とは「職務割当+到達基準」のことであり、通常本人が努力すれば到達可能な水準を達成レベルとするが、組織の要望により、本人にとって難しいものであったり、簡単のものであることもありえる。

2 難易度の設定
 ここでいう難易度とは、「本人にとって」ではなく、「本人格付け等級の標準者」にとってという意味であリ、目標そのものの価値という意味でもある。

3 難易度設定の方法(その1)
 等級定義や職能要件書に各等級の標準的な目標の目安を提示しておきそれと比較して判断する。

等級 標準目標のイメージ(例)
6等級 従来のやり方をまったく変え、さらに部門外の人たちを巻き込んで進めないと達成できない目標。
5等級 部門外の人たちを巻き込んで進めないと達成できない目標。
または、従来のやり方をまったく変えないと達成できない程度の目標。
4等級 自分だけでなく、部門内の人たちを巻き込んで取り組まないと達成できない程度の目標。かなりの改善工夫をしないと達成できない目標。
3等級 今までのやり方に若干の改善や工夫を加えないと達成できなれベルの目標。
2等級 今までのやり方や業務マニュアルどおりに行えば達成できるレベルの目標。

 例えば4等級の人が本人の能力が高いことから、5等級相当の目標であっても達成できそうであるということで5等級相当の目標を設定した場合、その目標は本人にとって(本人格付け等級にとって)難易度が高い目標ということになる。
 また、4等級の人に組織の都合で2等級相当の職務を割り当てた場合、難易度は低いということになる。

4 難易度設定の仕方(その2)
 その目標を分析的に評価しその点数によってその目標の価値を決め、その目標の価値と本人の格付け等級により難易度を設定する。

評価項目

5点

4点

3点

2点

1点

会社への影響度 成功失敗が会社の存続に大きな影響をもたらす 失敗のリカバリーが困難、成功失敗が会社の業績に大きな変動をもたらす 2〜4の中間

リカバリーが容易、成功失敗が会社の業績に影響が少ない

成功失敗が会社の業績にほとんど影響しない
規模または責任の範囲 全社レベルの規模 部門または機能をまたぐ規模 部レベルの規模 グループまたは課をまたぐレベル グループ・課の範囲内のレベル
社内折衝の度合い あらゆる部門との折衝が必要である 複数の関連部門と頻繁に 関連部署と折衝が多い 折衝が少ない 折衝は全くない
社外折衝の度合い 相手先の経営者レベルとの折衝が頻繁である 複数の社外と頻繁に折衝 社外との折衝いが多い 社外との折衝が少ない 社外折衝は全く必要ない
問題解決の度合い 従来の延長線でなく、まったく新しいやり方が必要 前例がなく、複雑多岐 2〜4の中間 先例を参考に解決可能 マニュアル通りに行えばよい
専門知識 業界を代表するくらいの専門知識 会社を代表するくらいの専門知識 部門で第1人者として認められる位の専門知識 部門内を熟知しているくらいの専門知識 特に深い専門知識は必要としない
その他          

 上記の職務価値分析表により、各目標の総合点を出し、その目標が何等級の目標に相当するかを判定する。

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     6.目標の難易度の誤解  
     目標の難易度設定というと、「低い目標など設定しない、目標とは高いものだ」などの意見があり、目標の難易度設定について、誤解されている部分があるので、ここでもう一度、説明します。

 ここで言う難易度とは本人にとってということではなく、本人の格付け等級としてという意味です。
 通常、目標は本人にとって、がんばれば達成できる水準を設定するものであり、本人にとってはいつも能力よりはちょっと高い目標水準を設定することが原則です。
すなわち、「目標水準=本人の能力(見込み)+ムリ」ということになり、このムリの部分を何とかしようとすることで、能力開発や業務改善、業績向上につながるわけでです。

 したがって、目標水準を設定する際には、本人の格付け等級は参考にするものの、最終的には本人の能力やおかれている環境や見込み等を勘案して、がんばれば何とか達成できそうな水準を設定することになります。
 そうなると、客観的に見るれば、能力の高い人は等級に関係なく高い目標、能力の低い人は低い目標となるわけです。
目標設定としてはそれでよいのですが、評価するときの公平感が損なわれることになりますので、その目標は格付け等級としてどうか(難易度)を設定しようというものなのです。

 例えば4等級の人が本人の能力が高いことから、5等級相当の目標であっても達成できそうであるということで5等級相当の目標を設定した場合、その目標は本人にとっては適切な目標であっても、本人格付け等級にとっては難易度が高い目標ということになるということです。

 その逆に、4等級の人が能力が低いことから3等級の相当の目標を設定した場合、本人にとってはちょうどよいも目標であっても、格付け等級として難易度が低いということになるわけです。

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     7.目標設定の仕方(まとめ)  
     評価連動型目標管理における目標設定の仕方をまとめてみました。

 目標設定のポイント(まとめ) pdfファイルです。

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