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賃金は生活保障の原則と労働対価の原則で成り立っています。
労働対価については職能給や職務給あるいは成果給などで対応しているとことが多いと思います。
生活保障については、年功制からの移行のしやすさや、年齢によりある程度生活費が予想できた点から年齢給を採用する企業が多いと思います。それでは考えてみましょう。
まず、賃金に生活保障を考える必要があるのかどうか、です。
「当社成績給だけよ」という会社もあるかもしれませんが、その成績給の最低はゼロではありませんよね。どんなに成績が悪くてもある一定賃金を支払うわけですから、名称はどうあれ、生活保障の原則を取り入れていることになります。(委託販売契約のフルコミッション制を除いて)
やはり、ある一定金額は成績や能力と関係なく保障することで、安心して働ける環境が作れると思います。したがって、賃金には生活保障の部分も必要であると考えるのが妥当でしょう。
問題はその最低保障の金額を、年齢に連動して引き上げるかどうかということですね。
以前は年齢である程度生活費の予想ができたものの、ライフスタイルが多様化している現在では年齢による生活費はほとんど予測できないのではないでしょうか。
そんな中で年齢だけで上昇する賃金が必要でしょうか。私はあまり必要性を感じません。
生活保障という観点から言えば、年齢より子供の人数のほうが大きいのではないでしょうか。
40歳独身よりは25歳子供2人の方が生活費はかかると思います。
いくらライフスタイルが多様化しているといっても、子供にかかる費用、特に教育費はほとんど変わりません。(金額ではなくて、必要となる時期はみな同じという意味)
このように考えると、賃金に生活保障の要素は必要である。
その金額は年齢に連動するより、子供の数に連動させた方が現実的である、ということになります。
したがって、年齢給は必要なし。生活保障は家族手当で行う方がよい、ということになります。(日本の少子化防止のためにも)
実務的に考えますと、
・ 年齢給の最低額を基礎給として固定にする。
・ 今まで年齢給で増額していた分を家族手当に振り替える。
(子供3人の家族手当と基礎給の合計が今までの年齢給の最高額になるように手当を設定する。)
・ この場合、特に子供の手当を多くする。(子供の手当は大人になるとなくなる)
・ 家族手当は残業の基礎に入らないので、多少多くしても問題ない。
・ 定年延長で55歳で賃金カットなどの処置をしている会社があるが、家族手当であれば、子供が成長して自動的に支払額が少なくなるので、賃金カットによるモラールダウンを防止できる。
・ 必要な人には55歳以降も支給される。(支給開始が遅かっただけであり、合理的である)
・ 男女の賃金格差を無理やり総合職一般職に分けて合法化しているが、家族手当であれば、世帯主だけであるから、無理やり分けなくても現行賃金に当てはめることができる。
・ もちろん女性が世帯主の場合は女性に対して家族手当は支払う。
など、よい点がたくさんあります。
年功制から脱皮するのであれば、まず、年齢や勤続で連動する賃金項目をゼロにすることです。
そして、年齢以外のもので生活保障を考えることが必要です。
もちろん、急激な変化を望んでいなく、ある程度年功色も残しておきたいのであれば、年齢給はその上昇カーブをうまく考えれば、よい賃金項目だと思います。
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現在の職能資格制度をベースにした、管理職の年俸制導入の事例を公開します。
1.改訂の目的と期待
a. 年俸制で管理職の意識改革する。カツを入れる。
b. 右肩上がりの賃金、積み上げ方式の賃金に矛盾を解決する。
c. 能力主義の徹底は業績と報酬の合致であり、年俸制はその通りに運用できる。
(賃金=時間、賃金=能力、⇒ 賃金=成果)
d. 管理者意識が向上し、積極性が出る、だろう。
e. 能力主義実力主義の風土が生まれる、だろう。
f. 面談を通じて、コミュニケーションがよくなる、だろう。
g. 評価プロセスが明確になり、納得性が高る、だろう。
2.改訂の内容
a. 管理職の賃金を年俸制とし、年俸の内訳は「基本年俸+業績年俸」とする。
b. 基本年俸は管理職の職務と役割および実績に応じて、決定する。
c. 支払方法は基本年俸の1/15を月例賃金とし、3/15を年間賞与とする。
d. 業績年俸は半期ごとの業績評価(目標管理)により決定する。
e. 業績年俸は年間で0から基本年俸の4/15とし、賞与に加算する。
f. ただし、賞与(年間3か月分)+業績年俸(0から4か月分)については、会社業績係数を乗じた金額を支給する。
g. したがって、計算式は次の通りとなる。
年俸=基本年俸×12/15+(基本年俸×3/15+業績年俸)×会社業績係数
業績年俸=基本年俸×1/15×業績評価(×0,1,2,3,4)
会社業績係数=経常利益実績(予想)/目標経常利益
年俸900万円の場合
3.基本年俸の決定方法
a. 管理職をライン職群、スタッフ職群、キャリア職群の3つに区分し、さらに、ライン職群はその職務に応じて「部長」「筆頭課長」「課長」に分ける。これにより、基本年俸のテーブルを決める。
b. ライン職群は部門管理を行う立場の人で、各組織の責任者である。
部長
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部長を任命されたもの。定員は部の数。
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筆頭課長
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ひとつの部に課長が2名以上場合、部長不在時の代行を行う筆頭課長が任命される。
ただし、任期は2年とする。定員は最大で部の数。
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課長
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課長を任命されたもの。定員は課の数。
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c. スタッフ職群はライン役職待機者、および、専門職者などライン職群以外の管理職とする。(下記のキャリア職群を除く)
d. キャリア職群はライン職群、スタッフ職群で役職定年となったものとする。
e. テーブルにおける号俸の格付けは次のように行う。
1 各ポスト(部長、課長)の職務分析を行い、その職務価値の大きさに応じて3段階に分ける。これにより職務価値の低いポストから2、3、4の号俸を格付ける。
2 さらに、そのポストに任命される人の実績により、上下1の幅で調整する。新任の場合や前年実績は極端に悪い場合はマイナス、職務価値の高いポストから低いポストに配属の場合や前年実績が極端によい場合はプラスとする。
3 したがって、ライン職群は5段階(5号俸)となる。
4 筆頭課長は普通の課長と同様に格付けし、テーブルのみ筆頭課長のものを使用する。
5 スタッフ職群の格付けは、所属の部長、課長の格付けを参考に、その職務の大きさと責任の重さを考慮して格付ける。格付けの段階は15段階とし、その職務レベルが課長級の場合は1〜5号俸、筆頭課長(今までの次長)級の場合は6〜10号俸、部長級の場合は11〜15号俸とする。
6 キャリア職群の格付けは、役職定年前の基本年俸の80%を目安に、その職務と責任の重さにより決定する。
管理職基本年俸テーブル表
( )内は月例賃金 単位:千円
テーブル
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ライン職群
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スタッフ
職群
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キャリア
職群
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号俸
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部長
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筆頭課長
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課長
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1
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9,450(630)
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8,100(540)
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6,750(450)
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6,000(400)
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5,400(360)
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2
|
9,750(650)
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8,400(560)
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7,050(470)
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6,300(420)
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5,700(380)
|
3
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10,050(670)
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8,700(580)
|
7,350(490)
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6,600(440)
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6,000(400)
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4
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10,350(690)
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9,000(600)
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7,650(510)
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6,900(460)
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6,300(420)
|
5
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10,650(710)
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9,300(620)
|
7,950(530)
|
7,200(480)
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6,600(440)
|
6
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7,500(500)
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6,900(460)
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7
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7,800(520)
|
7,200(480)
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8
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8,100(540)
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7,500(500)
|
9
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8,400(560)
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7,800(520)
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10
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8,700(580)
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8,100(540)
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11
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9,000(600)
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8,400(560)
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12
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9,300(620)
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8,700(580)
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13
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9,600(640)
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14
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9,900(660)
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15
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10,200(680)
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4.業績年俸の決定方法
a. 会社の経営方針に基づく目標や、部門目標達成のための業務目標を担当役員と話し合って設定する。(半期ごと)
b. その際、その期待水準と達成のための難易度、そして各目標別のウエイトを明記し、上司・部下ともに確認しておく。
c. 半年後、各目標の達成度合いとその難易度により、次のように評価し、さらに各目標の加重平均を取り、業績評価点を算出する。
d. 業績評価点で順位付けし、下記分布規制により業績評価を決定する。
業績評価換算表 (会社業績係数が1.0の場合)
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分布規制
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業績年俸月数
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賞与月数(1回分)
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(S)
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上位から 5%
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4ヶ月
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3.5ヶ月
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(A)
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15%
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3ヶ月
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3.0ヶ月
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(B-上)
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20%
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2.5ヶ月
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2.75ヶ月
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(B-中)
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20%
|
2ヶ月
|
2.5ヶ月
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(B-下)
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20%
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1.5ヶ月
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2.25ヶ月
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(C)
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下位から 20%
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1ヶ月
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2.0ヶ月
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(D)
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0ヶ月
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1.5ヶ月
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(C)の中で、極端な成績劣悪者は(D)とする。
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