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      雪印乳業石川社長の人事考課 (考課日:2000/7/11)  
     1.考課対象  
   

 雪印大阪工場の食中毒に関する動き 

 
     2.主な行動事実  
     1日午後、発生後初めて大阪市内で記者会見した石川社長が
「それは本当か」大阪工場長を指さし、震える声で叫んだ。
社長はこの日、工場の様子を見ずに、会見に臨んでいた。 
社長は「結果的に、遅れたことは大変申し訳ない」と反省の弁を述べた。
だが、工場には入らず、そのまま新幹線で帰京した。 

 商品の全面回収を発表した4日の会見では冒頭、「私が現地に行って指示しなければということでうかがいました」と語り始めたが、途中、答えに窮したり、同席した役員から発言を修正されたりする場面が目立った。
「正直言って、混乱している」「正確な情報が出てこない」。「辞める気はないのか」との質問には「毎回聞かれるが、進退うんぬんを考える心境になっていない」と強気に答えた。 「私は寝ていないんだ」。会見後、記者団にもみくちゃにされて弱音を吐いた。 

 工場の幹部職員は「現場を知らない人たちが記者会見で受け答えし、対策本部で指揮している。これで、本当に原因を究明できるのだろうか」と不満を漏らした。 

 食中毒の第一報が社長の耳に届いたのは、大阪工場に立ち入り調査が入り、自主回収を始めたあとだった。西日本支社のお客様相談室に第一報が入ってから、すでに2日近くがたっていた。 

 当時、社長は札幌市であった同社の株主総会に出席していた。総会後のホテルでの懇親会にも出席していた。同行していた役員には情報が入っていたが、社長の耳には入れなかった。この間も被害はどんどん拡大していた。 

 6日午前、石川社長は東京都内の本社で開かれた緊急役員会に出席し、「自らを含む役員らの厳しい処分をしなければならない」と辞任を示唆した。

10日、そして入院。 

 
     3.人事考課の考え方  
    1.成績考課
 1万人以上の食中毒患者を出したこと、また発覚後の対応が悪く被害を拡大させたこと、さらに、雪印のブランドイメージを大きく失墜させたことから、文句なくDと判断すべきである。

2.情意考課
 わかっていてこのようなズサンな管理を行っていたのであれば責任性はD。
知らなかったということであれば、知ろうとしなかった責任は大きく文句なくD。
いずれにしても責任性はDとなる。

3.能力考課
 トラブルが起きたときの対応で判断力(決断力)が評価できるが、今回はことの重要さの認識が甘く、その判断が更なる被害に拡大した点やブランドイメージを大きく失墜させた点から判断力はDと判断する。
 また、記者会見でお詫びを申しあげながらその気持ちが伝わってこない点から折衝力はCと判断する。
 さらに、情報がリアルタイムで入ってこな管理体制しか作れなかったことから指導管理力はDと判断せざるを得ない。

4.ウエイト
 上場企業の経営トップということから、成績考課50%、情意20%、能力30%とする。

5.結果
 総合評価31点で「業務に支障をきたすD」と評価する。
 

 
     4.人事考課の結果  
   

 

考課項目・要素 評語 ウエイト
成績考課 50%
情意考課・規律性 B(−) 5%
情意考課・責任性 5%
情意考課・協調性 B(−) 5%
情意考課・積極性 B(−) 5%
能力考課・知識技能 B(−) 5%
能力評価・判断力 10%
能力評価・企画力 B(−) 5%
能力評価・折衝力 5%
能力評価・指導力 5%

総合評価

31点

 

 
     5.補足説明  
   

 通常能力考課はその行動を行わないと判断できない。
例えば、折衝してへたくそであれば折衝力がないといえるがはじめから折衝しなければ折衝力があるかないかわからない。指導しなければ指導力があるかないかわからない。
 しかし、判断力(決断力)は判断の必要なときに判断しない、何も判断しないことそのものが判断力の欠如と考える。