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      小泉純一郎首相の人事考課2 (考課日:2002/2/1)  
     1.考課対象  
   

 総理大臣就任後の所信表明演説(2001/5/7)から今日まで(2002/1/31)。

 
     2.主な行動事実  
   

 新聞・テレビラジオ等で報道されている内容。

 
     3.人事考課の考え方  
    1.成績考課
 職務基準を昨年5月7日に行った総理大臣としての所信表明演説の内容とする。
所信表明演説の内容は以下の通りである。(以下抜粋)
1 新世紀維新を目指して
 私に課せられた最重要課題は、経済を立て直し、自信と誇りに満ちた日本社会を築くことです。同時に、地球社会の一員として、日本が建設的な責任を果たしていくことです。痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず、「恐れず、ひるまず、とらわれず」の姿勢を貫き、二十一世紀にふさわしい経済・社会システムを確立していきたいと考えております。
2 日本経済の再生を目指して
 日本にとって、今、最も重要な課題は、経済を再生させることです。
処方箋は既に示されています。日本経済の再生を真に実現するために、今、私がなすべきことは、決断と実行であります。
3 経済・財政の構造改革―構造改革なくして景気回復なし―
 小泉内閣は、以下の三つの経済・財政の構造改革を断行します。 
 第一に、二年から三年以内に不良債権の最終処理を目指します。
 第二は、二十一世紀の環境にふさわしい競争的な経済システムを作ることです。
 第三は、財政構造の改革です。
4 行政の構造改革―民間にできることは民間に、地方にできることは地方に―
 特殊法人等についてゼロベースから見直し、国からの財政支出の大胆な削減を目指します。
5 社会の構造改革―生きがいを持って、安心して暮らすことができる社会― 
 「生きがいを持って、安心して暮らすことができる社会」を実現するためには、教育、社会保障、環境問題等について、制度の改革と意識の転換が必要です。
6 二十一世紀の外交・安全保障
 日本が平和のうちに繁栄するためには、国際協調を貫くことが重要です。
7 まとめ
 今の痛みに耐えて明日を良くしようという「米百俵の精神」こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要ではないでしょうか。

以上の内容から職務基準を
 1 景気回復、2 財政改革、3 行政改革、4 規制緩和、5 社会構造の改革
の5つとする。

 景気回復については、「構造改革なくして景気回復なし」というばかりで、具体的なビジョンを示さず、株価はバブル崩壊後最安値をつけている。したがって、この件に関してはCと判断する。
従来型の緊急経済対策をしなくても、もっと抜本的な対策、または将来のビジョンを示すことで、これだけ支持率があるのであるから、マインドを変えることはできたはずである。

 財政改革については、赤字国債を30兆円に抑えるなど形式上は、公約を守っているが名目を変えた借金は増えている。国民に痛みを求める前に、政府が実践すべきであるが、目に見えて実践されていない。したがって、Cと判断する。

 行政改革については、掛け声だけ、アドバルーンだけで何も変わっていない。確かに、今まで聖域だった部分の改革まで話には出るけれど、結局は落ち着くところに落ち着いている。テーマにあげるだけでも今までよりは前進しているので、Bと評価としたいところであるが、外務省改革を矢面に立って進めていた田中外相や、行政改革担当の石原大臣へのバックアップがなく、他人事のように記者会見している場面を見ると、Cと判断せざるを得ない。

 規制緩和、社会構造の改革については、現時点では明確な結果が出ておらず、考課対象外とする。

2.情意考課
 自ら任命した各大臣に対して、何か問題があると他人事のような対応をしたり、発言したりであり任命責任の認識がまったくない。具体的には、例えば今回の田中外相の更迭問題について、首相の命を受け(あるいは承認の上)、外務省改革を矢面に立って進めている外相に対して。他人事のように「涙は女の武器だから」と発言したり、最終的にはケンカ両成敗で更迭したりで、自分で任根石多大人をかばうとか、バックアップするとかという姿勢が見られない。このことによって、国民の支持率は下がり、さらに上記の職務の遂行が困難になる状況を招いている。したがって、責任性はD判断する。
 その他は、評価できる事実がなくBとする。

3.能力考課
 法律と常識をうまく使い分け、野党の追及をかわす点については、折衝力・渉外力は「A」と判断できる。
 判断力・決断力については、前回の評価で「田中真紀子氏の外相など賛否両論のある判断であるが、国民の期待や改革を強く打ち出すという姿勢から考えれば、高度な判断であり、「A」と判断できる。」としたが、結局自ら否定してしまったわけであり、最初の判断がまずかったということでCとする。
 企画力・開発力については、テーマやスローガンは立派であるが、実行が伴っていない、成果が出ていない点を考えれば、標準以下となるところであるが、期間が1年未満ということもあり、今回は標準Bとする。
 指導力・統率力については、大臣の任命を自ら行った時と比べるとリーダーシップはかなり低下しているようである。抵抗勢力と見えないところでうまく妥協しているような雰囲気があるので、プラスには評価できない。

4.ウエイト
 総理大臣であり、結果が求められるわけで、成績考課のウエイトを80%としたいところであるが、今回はまだ1年未満ということで、成績考課のウエイトを若干下げて、成績60%、情意20%、能力20%とする。
 (森首相の時と同じにした)

5.総合評価
 ウエイトを考慮して100点満点にすると45点となり、総合評価はかろうじてCとなる。

 
     4.人事考課の結果  
   

 

考課項目・要素 評語 ウエイト
成績考課・景気回復 20%
成績考課・財政改革 20%
成績考課・行政改革 20%
情意考課・規律性 5%
情意考課・責任性 5%
情意考課・協調性 5%
情意考課・積極性 5%
能力評価・判断決断力 5%
能力評価・企画開発力 5%
能力評価・折衝渉外力 5%
能力評価・指導統率力 5%

総合評価

かろうじてC 45

 

 
     5.補足説明  
   

 期待が大きく職務基準が高くなると、その分、うまくいかないと評価は悪くなる。歴代総理大臣よりは、まだよいような気がするが、所信表明演説で自ら職務基準をあげてしまっているので、人事考課としては「あの森首相」より1点悪くなってしまう。
 あまり大風呂敷は広げないほうがいいようである。

     → 小泉首相の人事考課1 (考課日:2001/5/13) 参照