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      田中真紀子前外務大臣 (考課日:2002/1/30)  
     1.考課対象  
   

 外務大臣就任から更迭までの約9ヶ月間の行動と実績。

 
     2.主な行動事実  
   

 新聞・テレビラジオ等で報道されている内容。

時期 内容
01年4月26日 初の女性外相に就任。「国民は前森内閣の対応に納得していない」と外交機密費を強く問題視。
5月11日 「外務省は伏魔殿。副大臣を通じて内閣に人事圧力をかけている」と外務省を痛烈批判。
5月24日 中国訪問で初の外交デビュー。「主婦だった私が日本の外交をになうことになりました」。
6月6日  リーク防止のためにトイレで電話。
6月20日 衆院外務委で鈴木宗男氏と初バトル。「特定の議員名は言っていない」と批判をかわす。
8月8日 参院選での応援が「選挙妨害」とされ、党紀委で処分決まる。弁明書で「おわびします」を3度繰り返す。
10月3日 天皇陛下に内奏した内容を外部に漏らした疑惑が浮上も「その事実はない」と否定。
10月8日 米国のアフガン空爆を官邸から知らされず。自ら車を運転し官邸へ駆けつける。
10月29日 外務省斎木昭隆人事課長をめぐる人事で事務方と対立。人事課任用班の部屋にかぎをかけてろう城し、人事異動通知書を職員に作成させようとして抵抗され激怒。
10月30日 斎木課長更迭を求めたが首相官邸から待ったがかかり、見送りに。自ら手書きで斎木課長更迭の辞令を作成したが、官邸サイドは発令せず。
11月3日 1日のイラン外相との会談直前、指輪を紛失したことに気づいた田中外相が、上月(こうづき)豊久秘書官を泥棒呼ばわりしていたことが発覚。「事実と事実でないことがごちゃ混ぜになって、役所からすぐ報道がでる」。
11月5日 却下された国連総会と主要国外相会議への出席を求め、直訴状を手に与党国対委員長に直談判。小泉首相から「与党だけにでも頭を下げれば」と助言されたといい「外相が行かないと、禍根を残す」とぶ然。
11月7日 「首相の助言」をもらしたことで、小泉首相が「ペラペラしゃべるな」と激怒。田中外相はしっ責を受ける。
11月22〜26日 パキスタン訪問。パキスタン女性が身に着けるスカーフ「ヘガーブ」を用意。
02年1月3〜12日 欧州5カ国訪問。5日にはトルコで大雪に見舞われ、約11時間かけてアンカラからイスタンブールに移動。
1月15日 外務省仮庁舎が港区に。「国会に遠い。地震に弱そう。ちょっとにおいますね」。
1月21日 アフガン復興会議へのNGO出席が外務省に拒否された問題で「出席させるように」と、強権を発動。認めさせる。

 

 
     3.人事考課の考え方  
    1.成績考課
 職務基準は当然、外務大臣として日本の外交を滞りなく行い、国益に貢献するということであるが、この内閣では「改革」をスローガンにしており、機密費問題を抱える外務省自体の改革も当然職務基準に入ってくる。このことは、就任当時の田中外相も言っており、周知の事実である。

 まず、外交問題については、いろいろなごたごたがあったのは事実であるが、これにより国益を逸したとかということはなく、結果的には可もなく不可もなくであり、標準Bと判断する。

 また、外務省の改革問題では、本人も熱意を持って取り組んでいたようであるが、結果的にこの9ヶ月では、なんら成果がなくDと判断したいところであるが、外務省内部の問題が出るたびに、外務省の体質や族議員のかかわりなどが国民にわかるようになったという点では功績がありCと判断する。
 なお、この外務省改革については、改革する側と改革される側とでは軋轢や抵抗があるのは当然であり、一連のゴタゴタもその流れからきているものであろう。これに対して、田中外相は小泉首相の「改革」というスローガンを実直に信じ、一つ一つ改革の「はしご」を上っていたところであろう。
 矢面に立って改革を推し進めるためには、当然抵抗も大きいわけであるから、上司(この場合は小泉首相)の協力なバックアップが必要となる。ところが、この上司は口では改革と叫びながら、なんら具体的なバックアップを行わず、あげくの果てに、上がったはしごをはずしてしまったようである。そういう意味では、田中外相は頼りない上司をもってアンラッキーであったといわざるを得ないが、成績考課はありのままの原則があり、結果だけで判断するとやはり、Cとなる。

 したがって、成績考課については外交問題がB、外務省改革がCとなる。

2.情意考課
 国会質問を制限するように働きかけしたという事実があり、規律性はCとする。
 責任性に関しては、外務省改革ではそれなりの熱意を感じたが、外交問題においては、投げやりな態度や行動があったようであるので、Cと判断せざるを得ない。
 協調性については、参議院選挙の応援演説などで応援に駆けつけていたが、その内容は応援、協力という感じではなく、しょうがなくきたという態度が明らかにでており、応援にはなっていなかった。したがって、協調性はCと判断する。
 積極性は特に判断できないので、Bとする。

3.能力考課
 わかりやすい話し方をするという点では表現力折衝力は標準以上と判断できるが、言っていいこと悪いこと、言っていい場所悪い場所の判断が甘く、判断力決断力は期待水準に満たないといえる。
 また、企画力については、外務省改革の進め方についても、もっと戦略・戦術を練っておれば違った結果になったかもしれない、その点が甘かったという点ではCと判断せざるを得ない。
 指導統率力については、部下の行動を改革するという課題をもっての管理統率になり、非常に難しい立場ではあるが、それにしても、部下との信頼関係を築けなかったという点についてはDに近いCと判断せざるを得ない。

4.ウエイト
 外務大臣であり、結果が求められるわけで、成績考課のウエイトを80%としたいところであるが、就任9ヶ月ということであり、成績考課のウエイトを若干下げて、成績40%、情意20%、能力40%とする。
 (小泉首相の時と同じにした)

5.総合評価
 ウエイトを考慮して100点満点にすると50点となり、総合評価は期待水準未満Cとなる。

 
     4.人事考課の結果  
   

 

考課項目・要素 評語 ウエイト
成績考課・外交問題 20%
成績考課・外務省改革 20%
情意考課・規律性 5%
情意考課・責任性 5%
情意考課・協調性 5%
情意考課・積極性 5%
能力考課・知識技能 5%
能力評価・判断決断力 10%
能力評価・企画開発力 5%
能力評価・折衝渉外力 10%
能力評価・指導統率力 10%

総合評価

50

 

 
     5.補足説明  
   

 上司の支援があれば、部下の評価もよくなる。上司の支援がなければ、部下の評価も悪くなる。「部下は上司を選べない」これが今の「組織の定め」である。