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      言いたい放題 15  
    71.安易な配転命令にクギ  
     河北新報(2002年11月16日)によると、「ノルマ達成率の低さを理由に配転され、給料がいっきに半額になってしまった仙台市の男性会社員(44)が、会社に給料差額の支払いなどを求めた裁判で、仙台地裁は15日までに、その主張をほぼ認める仮処分を決定した。」とのことである。

 以下、内容は次の通りである。
 仮処分を申し立てたのは、外資系医療器具製造販売の日本ガイダント(本社東京)の仙台営業所に勤務する男性。決定によると、1999年3月から営業職として勤務していたが、2002年3月に営業事務職に配置換えされた。理由はノルマ達成率の低さ。配転に伴い、給料は約31万円と、以前のほぼ半額になってしまった。
 地裁は今回、「賃金を半分とすることに客観的合理性はない」と配転・降格は無効と判断、今後1年半の間、ほぼ差額に当たる約26万円を上乗せして男性に支払うよう会社に命じた。営業職としての地位保全については認めなかった。
 差額支払いの理由として地裁は「売り上げノルマの設定に問題があった」と指摘した。男性は1999年、年間約2億円の売り上げ実績を示したが、2年後には2億8000万円のノルマを課せられ、約60%の達成率にとどまっていた。
 また地裁は、配転後の仕事が電話応対などだったことから、「男性が退職勧奨に応じないのが配転の動機だった」とも認定した。額の算定では、男性の家族に要介護の障害者がいることなども考慮した。

 ということは、「ノルマ(目標)の設定に問題がなく明らかに成績不振」の場合は、職種転換後賃金を変更してもよいということであろうか。
 本人の能力や適性、組織の必要性に応じ職務が変更になり、それに応じた賃金に変更になるのはきわめて当然なことであるが、今まで賃金が下がるということに関しては、タブー視されていた日本では、評価できる内容であろう。
 しかし、家族の状況で金額が決まるのは、いかにも日本的のような気がする。

 

 
    72.顧客評価を給与に反映  
     読売新聞(2002年11月17日)によると、「損害保険大手の損害保険ジャパンは来年度から、社員の事故対応に対する顧客の評価を点数化し、年収に反映させる給与体系を導入する。」とのことである。

 以下内容は次の通りである。
 具体的には、「保険金支払い説明」など8項目の事故対応について、顧客が満足度を5段階で査定して通知し、会社が社員ごとに集計して100点満点で採点する。社員は、担当地域の実情などにあわせて目標点数を設定しておき、目標と実際の点数のかい離度などで年収が変動する仕組みだ。 
 現在の業績評価制度による年俸格差は、年俸制の部長や課長、課長代理などで480―300万円、社員らは賞与で1・5か月分が生じ得る仕組みとなっている。新制度導入で、格差のうち約25%が事故対応の点数で左右されるようになる。

 顧客評価の整合性に問題があるであろうが、顧客に接する社員の意識は大きく変わるであろう。いい方に変わればいいのだが、・・・・。

 

 
    73.好き嫌いによる評価  
     人事制度の説明会をすると、よく「上司の好き嫌いにより評価されるのではない」という不信感を持ち、質問や反対意見を言う人がいる。
 確かに人間が行う以上、そのようなことは考えられるが、それらを極力排除するために、考課者訓練を実施したり、目標管理を導入し客観的に評価できるようにするわけである。
 しかし、それでも「好き嫌いの感情が入るのではないか」と納得しない人がいる。
多分、過去によい評価を受けたことがなく、それは上司の「好き嫌い」のせいだと思っている人であろう。
 そんな人には次のように話すしかない。
「確かに、最終的には好き嫌いの感情が入るかもしれませんね。もしそうだと思うのであれば、上司に好きになってもらえるように、努力すればいいのではないでしょうか。上司はどんな人が好きだと思いますか?それは評価のいい人なんですよ。」

 上司だって評価される。自分の評価にプラスになるように仕事してくれる部下は好きになるであろうし、マイナスになる部下は嫌いになるのは当たり前のこと。日ごろの付き合いは別にして、評価するときは、より公平に評価しようとするのは、上司自身のために絶対必要なことである。中途半端な評価や感情的な評価により、部下が反発して部門の業績が落ちたら自分自身マイナスになってします。部門業績をあげるためにも、より公正な評価をしようとするのは、ごく自然のことである。

 年功序列時代の感情による評価をイメージしているのは、部下の方。考課者は経営環境の厳しさを認識して、必死に公正に評価しようとしている。
 (危機感の不足している会社はそうでもないが、・・・・)

 

 
    74.定昇廃止企業が相次ぐ  
     読売新聞(平成15年2月11日付け朝刊)によると、
「2003年春闘が12日に本格スタートするのを前に、定期昇給(定昇)制度の見直しを打ち出す企業が相次いでいる。」とのことである。

 以下、抜粋−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 年齢給を廃止したり、管理職だけに導入されてきた年俸制を一般社員に広げるなど、年功序列で賃金が決まる制度を完全になくす動きが目立つ。
 日本水産、中部電力など、全社員の年齢給や勤続給を廃止する「全社員廃止型」をとっている。 ホンダやキヤノンなどは、一定の勤続年数や役職になるまでは定昇に近い制度を残して若手社員の将来への不安をなくし、会社で能力が発揮できる年次になってから定昇を廃止する制度だ。
 いわゆる「中堅以上廃止型」や「圧縮型」で、東京電力でも、課長級以下の社員に保証する定昇の期間を現在の9年から3年に縮める定昇圧縮を検討中だ。
 ホンダのように2007年度からは賃下げもありうる制度に移行する企業もあり、中堅以上の社員には厳しい制度となっている。
 一方、シチズン時計では、「若者のキャリアアップを図る」目的から、今年4月以降に入社する社員にだけ年俸制を導入し、他の社員の定昇は残すという。
 また、富士通は、定昇相当分は残すものの、昇給率を減らす。その場合は同じ人の賃金は下がらないが、これまでのように能力や地位などが同じ1年先輩の社員と同じ給与を1年後にもらうことはできなくなる。

 定昇見直しを行う企業が業績不振企業にとどまらないことからすると、多くの企業が不況下の緊急避難としてではなく、恒久的な措置として定昇改革を検討している傾向が強いようだ。

社名 導入時期 制度の内容
シチズン時計 2003年4月 新入社員のみ年俸制導入
キャノン 2002年4月 制度上は定昇廃止。32歳まで「経験昇給」という事実上の定昇がある。
ホンダ 2002年10月 主任級社員と中心に定昇を廃止
セイコーエプソン 2003年4月 主任・主事以上の定昇、家族手当を廃止
オートバックスセブン 2002年4月 全社員に年俸制導入
日本水産 2002年4月 全社員の年齢給なお度を廃止
東邦ガス 2002年7月 年齢、職能資格による昇給を廃止
東洋エンジニアリング 2003年4月 全社員の定昇、家族手当を廃止
中部電力 2003年4月 職級ごとに上限を設ける
トヨタ自動車 2004年にも 全社員の年齢給を廃止。職能個人給に年功的要素は残る
富士通 2003年4月にも 本給の昇給率を引き下げ
東京電力 2003年4月にも 階級昇格後9年間保証してきた定昇を、昇格後3年だけしか保障しない

 以上、抜粋−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 確かに年齢や勤続に連動して無条件に賃金が上がる制度は、おかしなものであり、それらを廃止して、仕事にかかわる賃金項目(職能給、職務給、成果給など)で対応するということが必要であろう。
 ただ、無条件に定昇廃止というわけには行かない。定昇があるから安い初任給で採用できるわけであり、定昇がなければ初任給をあげる必要がある。
 やはりある一定水準までは、仕事にかかわる賃金項目で徐々に引き上げるという方式は必要であろう。
もちろんある一定水準以上については、ダウンもありうる仕組みが必要である。

 しかし、そうは言っても、今だに昇給表で管理している会社もあれば、年齢給と職能給の導入を検討している会社もある。
 昔ながらの職能資格制度を丁寧に運用して、成果を出している企業もある。
中途半端な年俸制の導入により、社員の意欲が低下し業績が急激に悪化した企業もある。

 社員にとって厳しい制度が会社にとってよい制度とは限らない。合理性と納得性があり、自社にとってよい制度を作り上げることが必要であろう。

 

 
    75.就職人気ランク  
     毎日新聞(平成15年2月13日)によると、就職情報会社「ダイヤモンド・ビッグ社」(本社・東京)は13日、就職活動中の大学生からの調査をもとにした「就職先人気企業ランキング」を発表した。今年は総合商社の人気が上昇するなど、不況時に堅実な企業を選択しようという意志がうかがえるという。

以下、記事の抜粋−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 ランキングは同社が78年から毎年発表している。今年も全国の大学3年、大学院1年生約9万人に郵送でアンケート調査した。

 文系男子は、三菱商事が6年ぶりに1位に返り咲きを果たし、ベスト10に商社4社が入った。女子はJTBが5年連続の1位となったほか、相変らず航空会社やマスコミの人気が高い。

 理系男子は、3年連続でソニー・トヨタ自動車・本田技研工業が上位を占めた。NTTデータは前年の41位から5位に躍進。女子は2年連続で資生堂が1位。昨年はランク外だった武田薬品工業が2位になるなど、多様な業種の企業が上位に入った。

◇ 就職先人気企業ランキング

順位 文系男子 文系女子 理系男子 理系女子
三菱商事    3 JTB       1 ソニー      1 資生堂      1
三井物産    5 全日空      2 トヨタ自動車  3 武田薬品工業 ※
東京三菱銀行  2 日本航空エアシステム 3 本田技研工業 2 NTTデータ   7
京海上火災保険4 サントリー    6 野村総合研究所10 花王      32
三井住友銀行  1 東京海上火災保険   7 NTTデータ  41 積水ハウス  15

会社名の後の数字は、昨年のランキング。 ※は昨年のランキング上位50位以下。

 これは何を意味しているのだろうか?