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  評価のQ&A 1

 
   

 1.評価の誤解!

 
   

 「私は評価するのも嫌いだし、評価されるのも嫌いです。」

 評価をするということと、序列をつけたり、競争させるということは、別問題ではないでしょうか。確かに、序列をつけられることや、競争を強いられることを望まない人はいると思いますし、それがいつも好ましいとは思いません。

 ただ、評価されることは望んでいるのではないでしょうか、○○さんも自分の仕事について、お客さんが気に入ってくれたかどうかは気になるでしょうし、正しい評価を、できればよい評価をしてほしいと望んでいると思います。
また、そのような気持ちがあるから、レベルアップしていくのだと思います。

 「評価=処遇(賃金、賞与)」、「評価=差をつけること、序列をつけること」、という考え方をまず払拭する必要があります。
 仕事の結果や行動に対して、よいものはほめてほしい、いけないものは注意してほしい、よくても悪くても何も反応を示さない、無関心が一番嫌なことだと思います。

 何を評価するか、基準は何か、ルールや方法はどうするか、など、検討することはあると思いますが、前提は、正しい評価を望んでいる、正しい評価は必要だ、ということです。 

 
   

 2.残業拒否の場合!

 
   

 「残業を拒否するのは、どう評価すればよいですか。」

 まず、規律性について考えてみましょう。
よく残業命令と言われますが、残業は命令できるものでしょうか。厳密には、命令とは業務時間内で通常の担当業務内においてのみ、効力があるわけです。したがって、残業は命令できません。あくまでも依頼になります。逆に、時間内で通常の業務内のことであれば、言い方は依頼であっても、命令になります。

 命令は受けて当たり前、標準B、拒否すればC・Dが妥当でしょう。
しかし、依頼は受ければ、協調性でプラス評価(B以上)、拒否しても不問ということになります。
 つまり、残業は命令ではなく、あくまでも依頼であるため、拒否しても規律性には該当しないということです。

 次に、責任性を考えてみましょう。
これは、残業の理由によってちがってきます。会社の都合で突然残業が必要になったり、仕事量そのものが多くて残業が必要な場合は、本人の責任は問えませんので残業を拒否しても不問とすべきです。残業を引き受けたのであれば、組織への協調ということで協調性でプラス評価、または、量的チャレンジということで積極性でプラス評価できます。本人のミスや能力不足で残業が必要になり、これを拒否したのであれば、責任性でC・Dと判定できます。この場合、残業を行って当たり前、責任性Bが妥当でしょう。

 まとめると次のようになります。

命令(業務時間で通常業務の範囲内)

OK

当たり前(規律性B)

拒否 

 規律性C・D

 依頼(勤務時間外に及んだり通常業務の範囲外) 

OK

協調性プラス

拒否

評価不問

 

自分の責任以外の理由で残業が必要

OK

協調性でプラス

拒否 

評価不問

自分の責任で残業が必要

OK

 当たり前(責任性B)

拒否

責任性C・D

 ただし、自分の責任で残業が必要な場合でも、残業できない理由があり、それを事前に連絡し、手を打ったのであれば、残業できなくてもマイナス評価はできません。

 ここでいう、段階BとかC、Aはこの一つの事実に対して、ということであり、これだけで、半年の評価が決まるということではありません。
 また、プラス評価というのは、その度合いにより、それぐらい当たり前Bの場合と期待以上Aの場合があるということです。

補足説明

 「就業規則、36条協定があれば、残業は「命令」てぎますし、就業規則で懲戒処分の対象ともなり得ます。」というご意見をいただきました。
確かにその通りだと思います。(むやみに拒否すれば)

 現在の法律の解釈として、
「36協定の範囲内であれば、正当な理由がなければ残業は拒否できない。」が通説だと思います。
ということは、「36協定の範囲内であっても、正当な理由があれば拒否できる。」という意味でもあります。

 問題は「何を正当な理由か」という問題であり、たとえデートであっても本人にとって一生を左右するものであれば、正当な理由となると思うのですが、いかがでしょう。

 また理由の内容はともかく、その理由は本人が申告するわけであり、それによって、「正当化かどうか」が決まるのであれば、絶対的命令にはならないのではないだろうか。
(本人申告による理由により、従わなくてもよいことがある)

そのような理由で、あえて、「依頼」という言葉を使っています。

誤解のないようにお願いします。
「残業はむやみに拒否できるということではありません。あくまでも正当な理由があれば拒否できるということです。」

補足の補足

 私は、残業を命令で「しょうがなく行う」ものではなく、各人が残業の必要性を感じて、行うものだと思っており、そのように日頃から、意識付けすることが大事だと思っています。

法律や36協定をたてに、嫌がっているものを無理やり残業させるのではなく、そうならない様に日頃の意識付けをしっかり行うことの方が大事だと思います。

命令しなくても、必要性を感じて、従業員が自ら申告してくるように、仕事の重要性や目的を知らしめることが経営としては大事だと思っています。
その意味で、管理者研修等で、残業は命令でさせるものではなく、必要性を理解させて、行うものである。一方的命令はダメだ。といっています。

 
   

 3.残業自粛の残業!

 
   

 「残業自粛の指示があるにもかかわらず、残業をしているのは、どう評価しますか。」

 本来残業は残業申請を出して、管理者の許可があってはじめて行うものですが、中小企業の場合は、ほとんど事後承諾になっている場合が多いようです。
したがって、上記のような質問が出てくるものと考えられます。

 これは、その残業の内容によってちがってきます。いくら残業自粛といっても、会社業務に支障をきたすような重要な仕事が残っているのであれば、残業してでも行うべきです。しかし、翌日行なっても間に合うのであれば、「残業自粛」を優先して考える必要があります。

 すなわち、その残業の「重要性・緊急性」と「残業自粛」の優先度で決まってくるわけです。
「重要度・緊急度」の低い仕事を残業で行なっているのであれば、規律性「C]、「重要度・緊急度」の高い仕事を残業で行なっているのであれば、規律性は「不問」で、責任性はその理由により「B]または「A]となります。

 
   

 4.有給休暇と評価の関係!

 
   

 「有給休暇を全部使い果たしている人と、まったく使っていない人の評価は、どう考えればよいのでしょう。」

 有給休暇を使った、使わないは人事考課上まったく関係ありません。
 ただ、仕事の処理量として、有給休暇を使った人と使わない人がちがっていれば、それに対しての評価(成績考課)はちがってきます。
もし、仕事の処理量が同じであれば、短時間で仕事をこなした人(有給休暇を全部使った人)の方が能力又は意欲があると考えてよいでしょう。
 

 
   

 5.あいさつは評価に関係するか?

 
   

 「Y君は職場の通路ですれ違ってもめったにあいさつをしません。
 自分からあいさつをすることは全くといってよいほどなく、こちらから「おはよう」と声をかけると、機嫌の良い時には「おはようございます」と小さな返事が返ってきますが、多くの場合はちらっとこちらを見るだけで、後は知らん顔をしています。
 同じ会社の中にいても、あいさつさえできないのでは人間関係がうまくいくはずがありません。
そこで、Y君の協調性を『C』と評価したいと思います。どうでしょうか?」

 同じ職場の中であいさつをするしないは、仕事以前の社会常識の問題です。
また、Y君が持って生まれた性格・生い立ちの問題ともいえます。
ここで考えていただきたいのは、人事考課は人間そのものを評価するのではなく、仕事を遂行する能力・取り組み姿勢・結果を評価するものだということです。
Y君があいさつをしないことによって、仕事上具体的な不都合を引き起こしているのであれば、その具体的事実を上げて評価に反映すべきでしょうし、そうでなければ評価の対象にはなりません。

 もし、「あいさつをしなさい」という業務命令があって、あいさつをしないのであれば服務規程に反するということで、規律性を『C』とすることもできますが、あいさつは業務命令でするものではないと考える方が適切です。
 大切なのはそのことを評価に反映させてから山田君の態度を改めさせようとするのではなく、気持ち良くあいさつをすることが、周囲の人達にもY君にとっても良いことなのだとあなた自身のアプローチで気づかせることではないでしょうか。